整理のプロに聞きました!
写真が伝える人生のあゆみ

自宅で過ごす時間が増えた今年は、家族の写真や長年撮りためてきた自分や友人との写真を見返した人も多いのでは? 写真は歩んできた人生そのもの。後回しになりがちな写真の整理方法について、写真整理アドバイザーの香川康子さんに教わりました。(畑 美佑)

 


昔の写真をデジタル化しておけば家族の記念日にフォトブックを作るのも簡単。「フォト自分史」を作れば人生を振り返る大切な一冊になります

 

写真を見返すことで記憶がよみがえる

写真の最大の魅力は見返すことで、忘れてしまっていたことや、その時の気持ちが鮮明によみがえることにあります。昔の写真をひもとけば、若い頃の親の様子、会ったことのない先祖の顔や人生を知る手がかりにも。また、写真はコミュニケーションのツールとしても役立ちます。一緒に見ることで楽しい時間を再び共有したり、普段は会話が少ない家族の間でも昔を思い出して話が弾むこともあります。

写真はうれしい時や楽しい時に撮ることが多いので、見返すことで元気が出る、自己肯定感を高めることにもつながります。近頃は「終活」をする親が、子どもの負担にならないようにと自分の写真を全て捨ててしまうケースが少なくないのですが、とても悲しいこと。誰もが見返せる形に整理すれば、家族にとってもかけがえのない宝物になります。ぜひ人生の記録として残してほしいですね。

 

大切な一枚を選び直し好みの形に整理

整理の第一歩として、家中の写真を集めて全体量を把握しましょう。次にそれらを「いる・いらない・迷い・移動(譲る)」で仕分けします。写りが悪い、複数枚ある、思い入れのない風景写真などは処分。ただ、捨てることが目的ではないので迷った場合は無理に処分しなくても大丈夫。仕分けが済んだら、薄型のアルバムに入れ直して仕上げましょう。

この時、時系列に並べると見やすくなります。家系図や年齢早見表などの資料があると作業がはかどりますが、整理が苦手、処理しきれないほどの量がある場合はプロに相談するのも一つの方法です。

アルバムが古くて台紙から剥がせない、かさばらない保存方法がいい、SNSなどで共有したいという人にはデジタル化がおすすめ。朝日新聞社が手がけるアルバム・古写真デジタル化サービス「ニッポン写真遺産」は、受注が400万枚を突破するなど好評です。家族が集まる年末年始、みんなで思い出を振り返りながら楽しく整理してみてはいかがでしょうか?

写真整理アドバイザー
香川康子さん

写真整理サービス「おもいでびより」主宰。生前整理アドバイザー認定指導員、1級家事セラピスト、住空間収納プランナーの資格も持つ。生前整理をサポートする中で、写真整理は心の整理にも有効なことに気づき、写真整理アドバイザーとしての活動もスタートさせた。

 

 


 

「90歳の母へのプレゼントに写真をデジタル化しました!」

宝塚市に暮らす安達三有希さんは、母が90歳になったのを機に、実家を片付け始め、カメラ好きの母が撮りためていた大量の写真整理にも着手。アルバムの写真からバラバラの写真まで、千枚以上を「ニッポン写真遺産」のサービスを利用してデジタル化しました。「WEBで申し込み、発送キットに詰めて送るだけなのでとても簡単でした。できあがった画像は色補正もされ、想像以上にキレイ。DVDでスライドショーのように見ることもできるので、母もとても喜んでくれました」


たくさんの写真の中で、安達さんが特に印象深かったという3枚の写真。「両親や祖父母の人生を追体験しているような気持ちになりました」

DVDを焼き増ししたり、スマホに入れて持ち歩けるのもデジタル化ならではと話す。「母と写真を見返す中で知らなかったエピソードや初めて見る祖父母の若い頃など、たくさんの発見がありました。写真は思い出と共にあってこそ価値があります。迷っている方は写真のことを聞ける人がいる間に“記憶を財産化”してほしいなと思います」

安達三有希さん




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カテゴリ: ライフ&アート